先週末のお盆&旧盆は、いかがお過ごしでしたか?

残念ながら私が生まれ育った家庭では、お盆と言っても
本家に出向くわけでもなく、特に何かをしたという記憶がありません。
実は親は何かしていたのに私が全く気に留めていなかっただけかも知れません。

そんな私でも、宮古島で暮らしているとこの期間を意識するようになりました。
お盆は、そのぐらい存在感のある一大イベントなのです。
正月よりお盆、だそうです。

まずスーパーが信じられないくらい混む(笑)。
あ、お盆なんだと気づく瞬間です。
みなさんご先祖様を迎えるための準備をしているんですよね。


宮古のお盆てどんな風にするの?と地元青年に聞いたところ、
当たり前だろ?と言わんばかりに一言、
「別に特別なことはしないよ、ご先祖様を迎えてみんなで楽しく過ごすだけ」。

いやいやそれが私にとっては当たり前じゃないんだって。
もっと詳しく教えてもらうことにしました。




まずお盆の初日(迎え日)は、本家にごちそうを用意し、
玄関から線香を持って、「さあ迷うことなく帰って来てねー」と
家の中にご先祖様を誘導して迎え入れるそうです。

そもそもそんなことをしたことがない私が
「え、玄関から誘導?そんな小芝居みたいなことをするわけ?」と聞くと、

「芝居じゃなくて、そうやってご先祖様を家に迎えるんだよ」と言いきります。

そして家で待っているみんなと楽しく時を過ごしてもらうんだと。
なんてあったかいんだろう・・・と感動。

二日目の中日(なかび)には、
引き続き集まった親戚や友人達と飲んだり食べたりして過ごすそうです。

一番のビッグイベントは最終日(送り日)。
ほとんどの会社が午後から半休になり、夜の飲食店の多くは店を閉めます。

この日はさらに沢山の人たちが集まって楽しく時間を過ごした後、
12時になると「あっちで好きなもの買ってねー」とウチカビ(天国のお金)を
燃やし、お供え物と一緒に玄関に出して見送るそうです。

昔はその時にロケット花火をとばして誘導?したと彼は言います。

お見送りまで徹底した歓迎ぶり。
ここまでしてもらったらご先祖様達もさぞ満足して帰られる事でしょうと、
やけに感心させられたのでした。


用意するお供え物一つ一つにもちゃんと意味があるそうで、
例えばサトウキビは、ご先祖様が杖に使ったりお土産を吊して運ぶためだとか。
至れり尽くせりだなあ?。





この期間中には友人達ともお盆に関して色んな話題がでます。


例えば、お盆に海に行くとご先祖様に一緒につれて帰られるから
海に行ってはいけないというのですが、本当に皆その注意にしたがっています。

たまたまこの時期に友人達と海遊びの予定を立てかけて、
途中でその日はお盆だと気づくと、「お盆だから引っ張られる」とか
「かあちゃんに怒られる」などと言って、結局日を改めることに。
私もこれに従って、この期間には海で遊ばないようにしています。


老人ホームで働く友人の話では、
迎え日の朝、雷が隣に落ちて施設の電気系統がくるい、
あちこちでナースコールが鳴ったりランプがピカピカ光ったりしたそうです。

それがまるでそこから旅立った方々が戻ってきたみたいだったとか。 
嬉しいような、怖いような・・・。


また、東京出身の友人は、この機会に初めて宮古出身の彼女の実家に
招待され、親戚に紹介されることになりました。
家に行くと、「○○ネーネーの彼氏???」とまず子供に囲まれたそうですが、
新しく家族になるかも知れないその人物に、実は一同興味津々。

そして乾杯の前に子供が質問表とやらを持って来たそうです。
その質問というのが、

「出身地はどこですか?」
「何歳ですか?」
「長男ですか?」・・・・etc.

どう考えても大人の質問(笑)!!

「長男ですか?」のくだりでは、
その場に居た一同が聞き耳を立てるべく静まりかえったそうです(笑)!




今年、私が個人的に特にお盆を感じたのは二日目のこの月。


大きくて赤い、妖しい月。
本当に不思議でした。

あまりにも神秘的だったので、これはお盆のせいとしか言いようがないと、
勝手に解釈したのでした。

大まじめにそう思ってしまうくらい、
こちらではお盆が当たり前のリアルな出来事なのです。



ご先祖様あっての私たち。
みんながそれを知っている、そして当然のこととして感謝する。
また、そういう機会に今生きている家族が集い絆を深めていく。

とてもとても大切で貴重な時間。

今までお盆に無縁だった私も、
遠く離れた宮古島から、自分なりにご先祖様達に思いを送ってみたのでした。