2007/03/15

 旅に出ると、手紙を書きたくなる。
心配している家族へ、大切な友人たちへ、お世話になっている人々へ。

 きっと日常を離れて体験をした高揚感を伝えたいと思うのだろう。人は感動すると、誰かに伝えたくなるものかもしれない。

 かもめ通信を初めて、今日で一年が経った。
今まで書いたものを全て読み直してみた。赤面するような恥ずかしい箇所もあったが、概して、ぼくの一年間軌跡を描かれていた。

 いろいろな人と出会い、別れ、友だちになり、仲たがいし、誰かを助け、助けられて、過ごした28歳だった。

 そんな中で身のまわりで起こった出来事、感動したこと、心に触れたことを、誰かに伝えたくて、文章を綴っていった。今振り返ってみると、かもめ通信は、宛先のない手紙ようなものだと思う。

 どうすればうまく伝えることができるのか、悩んだこともあった。1回の文章を書くのに何日もかかる時もあった。つまずいた時、励みになったのは、コメントやメールだった。
 こんな文章でも、読んでくれている人がいるんだと思うと、すごく力が湧いてきた。

 この文章を書くことによって、宮古島を色々な角度から見ることができた。
そして何よりも、多くの友だちを作ることが出来た。かもめ通信は、今回で終わりだけど、友だち関係はずっと続いていくだろう。

 今まで、読んでくれた皆さん、メールやコメントをくれた皆さん、本当に有り難うございました。そして、宮古島オンラインの長浜さん有り難うございました。お世話になりました。

 宮古島がいつまでも美しくあり続けることを願って、かもめ通信を終わりにします。
Posted by: kamome カテゴリー: General

2007/02/28

 先週、一週間休みをもらって、友だちとバリに行ってきた。
サーフィン仲間やその奥さんなど、総勢8名の大所帯だ。日本人に人気の高いリゾート地なので、行ったことがある方も多いと思うけれど、バリの様子を少し紹介したい。



 バリは、予想していたより、ずっときれいな島だった。クタ周辺は、宮古よりもずっとリゾート化が進んでいた。
 でも、空気は、アジアらしい匂いが、幾分混じっているように感じがした。クミンやコリアンダー、レモン、鷹の爪(多め)などを混ぜたスパイシー香りだ。住宅街の裏路地に入ると、一層この香りが強く、空気を含ませながら炒めるだけで、ナシゴレンが出来そうなほどだ。


『A Plumeria gose with orange!』

 バリは、台風の来襲がないせいか、植物が大きく成長する。沖縄の大木の2倍?3倍なんてざらに見られる。その中で、ぼくの目に付いたのは、プルメリアだ。バリでは、ホテルはもちろん、公園や街路樹などいろんな所に植えられている。
 ハワイでは、レイ(首飾り)として使われ、宮古でも真夏によく咲いているのを見かける(ほんとは、年中咲くらしい)。花びらは白く、真ん中がレモン色になっている。
 この花の一番の特徴は、なんと言っても、香りだろう。「香りのお手本」というような、フローラルで清潔な匂いがする。

 ぼくの泊まっていたホテルの隅に、少し変わったプルメリアが咲いていた。花びらが赤みがかっている。
 試しに匂いを嗅いでみたら、なんと、ココナッツの香りがした。
「さすが南の植物だ!」と、いたく感動した。



 翌日、街を歩いていると、今度は花びらが真っ赤なプルメリアを発見した。
 そばに駆け寄りたくなるほど、ビビットでかつ深みのある赤だった。どんなトロピカルな匂いがするのだろうと、ドキドキしながら嗅いでみると、
無臭だった。。。


『We're DECKPATS!』

宮古島では、平良にある消防署とJA平良支店の脇で比較的大きいプリメリアの木があります。そして、来間のカフェパニパニにもあるのでじっくり観察してみてください。
Posted by: kamome カテゴリー: 植物

2007/02/20

 ほろ酔い加減で家へ帰る途中、星がいつもより瞬いているのが見えた。
12時を回っていたけど、星座早見盤と懐中電灯を持って、ベランダへ。我が家は市内の中心地から、ほんの少し外れた住宅街にある。周りには、街灯や民家の明かりがあり、あまり暗くないけれど、結構、たくさんの星が見える。



 まず、オリオン座を基準にして、いろんな星を探していく。
一番明るい星、おおいぬ座のシリウスが見つかる。ベテルギウスとシリウスを頂点に、もう一つ明るい星を見つければ、冬の大角形が出来る。こいぬ座のプロキオンだ。
星座早見盤を見ながら、ふたご座・かに座・しし座なども見つける。たいていの場合、どうすれば、それぞれがそれぞれの名に適うのだろうと思う。でも、しばらく、じぃ?っと星の羅列を眺めていると、不思議と星座の形に見えてくることがある。
そんな時、昔の人が持っていたような想像力がぼくにも備わっていたことに嬉しくなる。

 こんな作業を繰り返していると、たまに空を切り裂くように流れ星が落ちる。無機質であるはずの星が、生命力に満ちあふれているように輝く。美しく、はかない。はかなく、美しい。
以前、流れ星が落ちる一瞬に願い事を3回唱えきった友だちを思い出し、ニヤッとする。(まだ願いは叶っていなそうだれど・・・)

 昔の人たちは、星を頼りに夜の海を航海していた。羅針盤なんてものもなかった時代だ。それでも、星だけを頼りに、多良間島や沖縄本島、果ては中国やフィリピンまでも行っていた。星を見る能力は現代人の比較ならない。それだけでなく、天気を読む力や魚介類を捕る力・・・、ぼくらはいろいろ力を失ってしまった。

 星を見たり、海をのぞいたり、人間が未だに捉えきれない世界と対峙したとき、便利さの替わりに自然との繋がりを断ってしまったぼくたちの姿が見えてくるような気がする。
Posted by: kamome カテゴリー: 生活

2007/02/10

 これは、一週間ほど前、ぼくの身のまわりで起こった出来事だ。

 先週の日曜日、ちょっとしたことから、右手の中指を怪我してしまった。
 よく見てみたけれど、外傷はなく、痛みを伴いながらも自分の意志で指を動かすことができたので、対したことはないだろうと判断し、放っておいた。

 翌朝、目を覚ますと、指は腫れ、痛みがまだあった。しかし、それでも病院に行くほどではないと思い、いつも通り職場へ行き、いつも通り仕事をした。
 
 お昼を少し過ぎたくらいに、上司に怪我のことを話すと、「すぐに病院に行った方がいいよ」と言い、同時に近くにある宮古病院に電話をしてくれた。
 そして、「宮古病院の整形外科は午後の外来がないそうだから、くらはし整形外科へ行きなさい。」と教えてくれた。

 しばらくすると、どこから聞いたのか、別の先輩がやってきて、椅子に座っているぼくに、
「指は大丈夫?宮古病院は今日休診だから、くらはしに行きなさい。今は一時間待ちくらいだよ。」
と伝えてくれた。

 また、しばらくすると、さらに違う先輩がやってきて、
「指怪我したんだって?くらはしは、今一時間待ちで、六時まで受付してるから、仕事終わって頃に行きなさい。」
と心配そうに話してくれた。

 きっとこの3人はみな、それぞれ宮古病院やくらはし整形外科に電話をして、問い合わせしてくれたのだろう。
その他にも、いろんな人が声を掛けてくれた。怪我をした理由を10秒で簡潔に説明できるようになったほど。

  温かい職場環境、priceless.



 以前、宮古の人の温かさについて、友だちと話し合ったことがあった。ある友人は、こんなエピソードを話してくれた。
 
 何かの用事で宮古の友人の家に立ち寄ると、必ず「コレ持って行け!(持って帰りなさい)」と何かを渡される。
 ある時は、庭で取れた野菜であり、ある時は、テーブルの上のみかんや買い置きしてある缶ジュースだった。質や量の問題ではない。その時にそこにある何かをくれるのだ。
 たまたま何もあげるものがなかった日に、『飲みかけのペットボトル』を「コレ持ってけ!」と渡された。『食べかけの餅』であったこともあるそうだ。
 言うまでもないが、悪意など、全くない。完全にない。ただ、家まで足を運んでくれたお礼に何かをあげたくて、渡したのだ。

宮古の人の気質、priceless.
宮古の心、priceless.

Posted by: kamome カテゴリー: 生活

2007/01/30

  祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
  沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理を現す

 有名な平家物語の冒頭の一節に出てくる「沙羅双樹」とは、椿の一種だ。(正確には、夏椿で、京都のどこかのお寺で今でも花を咲かせるらしい。)
さらに遡ると、日本書紀や万葉集でもすでに椿のことが詠まれていて、かなり古くから親しまれていたことがわかる。
 戦国時代には品種改良が進み、豊臣秀吉は居城である伏見城の庭に、全国の珍しい椿を集めて植えさせていたらしい。

 一方で、今日でも「TSUBAKI」という名のシャンプーが人気を集めているあたりから見ても、日本人は昔も今も椿という植物に強い関心を持っている。つまり、日本を代表する植物の一つといっても過言ではない。



 一月下旬の宮古島では、ヤブツバキの花が、庭先や公園などに、よく見られる。照葉樹で強い日差しに耐えられるような葉をしていることから、元々、温かい所に適した植物なのかもしれない。

 たくさんの形や色がある中でも、ぼくは一番オーソドックスな、深紅のヤブツバキが好きだ。小ぶりで、芯を守るような鐘状の花びらのものだ。違う角度から見ると、シドニーのオペラハウスのように見えるものもある。厚手の葉の深みのある濃い緑と、一口では表現できない渋い赤色のコントラストが何とも情緒的で趣がある。ずっと見ていると、心を掻き乱されるような気さえする。

 椿の花はなんと言っても散り際に、特徴がある。

 それゆえ、武士に好まれ書院や床の間に飾られたり、茶室に生ける花として、日本文化の礎を担ってきた。「武士道」や「わびさび」というものは、日本人の美意識をのみならず、自然観、死生観を現していた。

 「盛者必衰の理を現す」

 これは真理である、とぼくは思う。
 たまには、椿を眺めながら、生きることや死ぬことにと向き合うのも大切なことではないだろうか。

Posted by: kamome カテゴリー: 植物