Archives

You are currently viewing archive for December 2006

2006/12/20

『宮古島で見る夕陽は、』

 昨日、久しぶりに、夕陽を見た。
 最近、ずっと曇りや雨の天気が続いていて、夕暮れ時に空が明るくなった日は、ほんとに久しぶりだった。

 このエッセイでも何度も書いているが、ぼくは、夕陽が好きだ。

 太陽が全貌を露わにし、地平線へゆっくりと進む雄大さ。黄色から赤へ変わっていく色の変化。それ以上にいろいろな色に染められていく空。水面では輝きを加えられる。空も海も畑もサトウキビも、すべてのものを優しく包み込む光。


『字松原から見た夕陽』

 昔、どこかで読んだ本に、「マラッカ海峡で見る夕陽が、一番大きい。」と書いてあった。
どれくらい大きいのだろうか。画用紙にはみ出るくらいだろうか。
その一文だけで、ぼくはこの街へ強く惹かれる。

 『knocking on the heaven’s door』というドイツの映画がある。
海に沈む夕陽を見たことがない末期患者を海へ連れて行くという話だ。映像というよりは、言葉の使い方が面白くて、何度も繰り返し見た。

 人は、何故、夕陽に、しかも海に沈む夕陽に格別な想いを抱いているのだろう。

 ぼくは沖縄に移り住んだときに、毎日夕陽を眺めるような生活したいと思っていた。
最初は那覇に住んでいたが、仕事が忙しかったこともあり、夕陽をゆっくりと見ることはあまりなかった。

 しかし、宮古島に来てからは、西の空が輝けば、事情が許す限り、夕陽を見ている。
来間島の長間浜で、平良港で、パイナガマで、トゥリバーで、砂山ビーチで、家のベランダで・・・。
 地理的にそばにあるからということだけでなく、日常生活の中に海があり、空がある。漁をするわけではないし、毎日魚を食べているわけではないけれど、近くに感じるのだ。

 宮古島来る機会がある人には、是非夕陽をじっくり眺めて欲しい。
 その場で歩みを止め、5分でも10分でもただ夕陽を眺めてみる。胸の中につっかかったものや、日頃のストレスがスーッと流れていくだろう。

 「宮古島で見る夕陽が、一番心を和ませてくれる。」
ぼくは自信をもってそう言いことができる。
Posted by: kamome カテゴリー: General

2006/12/10

『地球温暖化(まず、読んでください)』

東京では、紅葉も終わり気温が一桁になる日も普通になりつつあるようだが、ここ宮古島では、「やっと夏が終わったな」というような日々が続いている。風が強く肌寒い日もあるが、長袖を一枚羽織る程度だ。ぼくは、暖かいところを目指して沖縄に移住したほどだから、気温が上がることは、嬉しい。

 しかし、現在の地球を取り巻く環境は、そんな脳天気なことを言っていられない地点に達していることを、多くの人は知らないだろう。
 ぼくは、この講演を聞いて、人生の進路をもう一度、じっくり考え直したほどだ。

 もう数ヶ月前にことだが、宮古島でE3燃料(*1)及び地球温暖化に関する講演会が開かれた。東京大学の山本良一教授が地球温暖化に関する基調講演をし、経済産業省・農林水産省・総務省などの官僚の方々が、温暖化に向けての政府施策を説明するというものだった。

 本当に賢明な方の話というのは、ぼくのような一般市民にもとても分かりやすい。大規模で複雑な地球温暖化という問題を、今まさに包丁を突きつけられているようなリアリティで伝わってきた。

 この2時間あまりの講演会を聞いて、ぼくは2つの衝撃を受け、胸が締め付けられる想いがした。

 一つめは、温暖化が著しく進行していること。
 京都議定書が締結された1997年以降に激化している。さらに、まだ正確な値として発表されていない2005年、2006年は、さらに上を行く気温上昇が見られた。
 南極やグリーンランドの氷河が凄まじい勢いで無くなっていることは、衛星写真で事実として突きつけられた証拠だった。

 そして、温暖化がある程度進むと、止まらない仕組みなっていること。地球上の生物種の半分近くが絶滅するであろうこと。干ばつや洪水など大規模に自然災害が頻発し、食糧不足により飢餓が発生すること。

 政治的には、アメリカが京都議定書に批准を拒否していること。中国、インドその他の開発途上国はCO2の削減義務はなく、今後中国・インドのCO2排出量だけで、現在の排出量を上回るだろうこと。先進国の一部では温暖化対策として、防災に目を向け始めていること(防波堤を高くする、海のそばに家を建てさせないなど)。

 今までは、21世紀の後半と見られていたこれらの予測が、今のペースで行くと20?30年後に起こるであろうこと。(すなわち、子どもや孫のために地球を守ろうというスローガンが、もう当てはまらない。)

 続いては、各省の循環型社会に向けての取り組みが発表された。ぼくはここで、直前までの危機的な温暖化の問題と、日本の施策のスピード感の違いに愕然とした。地球のために今やるべきことを100としたら、今は0.01くらいの進み具合だった。(もちろん、一生懸命進めているのは分かるし、とてつもなく難しい問題であることも理解している。)

 この講演を聞いて、ぼくが感じたことは、虚無感だった。環境に関心を持つ一人の人間として、どうすることもできない現実。積み木を積み上げるように一つずつやれることをやっていかなければ、いけないことは分かっている。しかし、その隔たりはあまりにも大きい。

 ぼくのやるべきことは、なんだろう??
とりあえず、多くの人にこの現実を知ってもらうことが、第一歩だと考えてこの文章を書きました。

 今置かれている状況を一人でも多くの人が理解したら、世界は変わっていくと願って。

*1ガソリンにサトウキビから作られたエタノールを3%混ぜたもので、車を走らせる取り組み。宮古はその実証試験をしている。

山本良一先生に関するサイト
http://www.makelohas.com/lohas_interview/04_01.php
Posted by: kamome カテゴリー: General